夢の続きを求めて -美女ゲットナンパ番外編2- (後日譚)


(前編)
(中編)
(後編)





今回の後日譚、
というか後味の悪いオチ。



結局。
その後の展開は完全にペア行動。


思いっきりいちゃつくショート子と相棒。
静かに手をつなぐ清楚子と自分。


コテージから東京に戻って正式に4人が解散した後も、
ショート子と相棒は東京で時間ギリギリまで過ごしたらしい。


そして清楚子と自分は、
そのままうちに招き入れて一泊した。


清楚子とのプラス一泊。
けっきょく合計二泊三日。
それはそれは楽しいもので。


濃密で。
ショート子がいなくなって初めて自分とふたりっきりになった清楚子は、
今までが嘘のように、猫のようにゴロゴロ甘えてきた。


でも、ひとつだけ。
良くないことも起きた。


解散しなきゃいけない時間が迫って。
うちで帰り支度してる時。


告白イベントが起きた。


予想外だった。
早い、と思った。


言われるとしてももう何度か後くらいだと思っていた。
そして彼女の様子を見てすぐ分かった。



覚悟を決めている。



当然こちらはいなして。
こんな事言うと叩かれるかもだが、ナンパ師をしていれば告白される経験は増えていく。
だからそれをいなすことに慣れていくし、上級者になればそもそも告白イベント自体を起こさないようなテクニックを持っている。


でもすぐ分かった。
清楚子は覚悟を決めている。


いなされるのを分かって言ってきてる。
その上で確認しにきていて。
自分の気持ちを。



答えはノーだった。



彼女。清楚子。
抜群に若くて抜群に可愛い。


とにかく顔が可愛い。色白で、透明感が凄い。
手術じゃどうやってもできないような芸術みたいな天然の二重。


可愛い子。とにかくかわいい子。
だけれども。



自分は、トーク主体なのだ。
もちろん可愛い子じゃないと彼女にしないし、
美人じゃないと彼女にしない。


けれどその上で、一緒にいるときはおしゃべりがしたいのだ。
会話が大事なのだ。


自分はそういう好みを持っている。
よくしゃべればいいというわけではなくて、
難しいのだが、会話のセンスと言うか、


どういう価値観があってそれを主題にするのかとか、
どんな世界観があるからこれが好きでこれについて話すとか、


その人の内側にある精神世界の広さや深さに感動したり、
その内容に驚いたり興味を持ったりする。


これは読書家がいいとか学者がいいとか、
高学歴がいいとかそういう話ではなくて。


全然そういうのとは無縁な子でも、その子の価値観や世界観、精神世界が好きになることも全然あるし頻繁にある。
芸術系の子だったり音楽系、踊り手などの表現者も好きになったし、


そうではない、ただ普通に生きている子でも、その子の独特な価値観や独自の世界観が大好きで付き合ったことが沢山ある。


本当に肩書は関係ない。もちろん最初に肩書を聞いて興味を持つフックになることは当然あるが、
肩書だけで彼女にすることは一回もなくて。
その子の精神世界がどれだけ好きになれたか、ファンになれたか、という点が自分の中ではとても大事になっていて。


年齢も関係なくて。
若い子だから浅いなんて感じたこともないし、
それこそ若くない年齢なのに合わない、と感じてしまうことだって頻繁にある。


こればかりは相性なのだ。
会ってみないと分からない。
話してみないと分からない。


一緒に過ごしてみないと分からない。
後で分かることもあるし、最初から分かることもある。



今回は。
ノーだった。



タイミングもあった。
本命彼女が複数いて、さらに新たな候補も渋滞していた。
長い付き合いの子がいて、その子との会話の相性が抜群に良いのだ。


人生レベルでの会話の相性の良さの子がいるのだ。
その子と比べるとほぼすべての女性との比較が大変なことになる。
それは酷なこと。だが正直それを現在進行形で体験してしまっていて。


今後清楚子との関係をあたためていく方向も当然あって。
いままでもそうやって時間をかけて知っていって、結局離れない関係になることも何度もあった。


離れてまたくっついて、という結果長い付き合いになる子も沢山いた。
だからそういう方向に進むと思っていた。


だから。早かった。
結論を出しに来たのが。


いなすこともできた。
けれど。本気の気持ちには。


正直な気持ちで返すしかないと思って。
正直な気持ちを伝えた。


清楚子は表情をそんなに変えなかった。
なんとなくそれも予測できていた。
あまり表情を表に出さないタイプ。


けれど内側はすっごく熱いタイプ。
それも分かってた。
なんとなく自分に似ていた。


静かな表情の下で、
沢山の想いが激しく鼓動していた。


それが伝わってきた。



電車の時間が迫っていたので、
駅まで見送って。


もう手は繋がなかった。
どちらからも。



会った回数はたった二回。
のべ日数約4日間。


それでも、凄く長かった。


彼女を見送った後の自宅までの帰り道。
繁華街をすり抜ける。



ネオンがぼやけて見える。



夢の続きは、少し切なかった。







(完)





コメント

  1. ケイアイ より:

    美しい文章ですね

  2. カンチ より:

    チバさん,
    今回のストーリーもとても興味深く読ませていただきました。
    まだまだストリートで声をかけるのも躊躇してしまう自分にはそもそもそれだけ可愛い子達が周りにいるのが羨ましいのですが,それはさておき,今回の結末は恋愛の奥深さを感じさせられます。1人を選ぶ時にはそこまでしっかりと吟味したいと僕も思います。

  3. ぺい より:

    いつも最高です。幸福とはなんぞや。と考えさせられました

  4. チバ より:

    >ケイアイさん
    ありがとうございます。

    >カンチさん
    ストリートは一度軌道に乗ると手持ちがどんどん増えます。
    その段階にいけるまでぜひ頑張って下さい。

    >ぺいさん
    仰る通りです。幸福かはまだ自分でもわからないです。