(前編)
(中編)
照りつける太陽。
見事な晴天。
プールではしゃぐふたりの天使。
7月某日。
相棒と男二人。幸せを噛みしめる。
やった。
ついにまたやったぞ。
前回と同じコテージ。
完璧な天気。
道中のトラブルもなく、
ここまでたどり着けた。
前々回の出撃、つまり2回目の出撃で出会った清楚子とショート子のペア。
彼女たちとのLANは無事成功し、その場での即席プレゼンも好評。
グループラインを作り慎重に運用していたが、その時から感じていた。
「これ、もう次出撃しなくてもいいかもしれないな」
その時点で2回目の出撃。残りあと1回の出撃が残っていて。
Xデーまで4週間あったので、破綻やキャンセル、
あるいは何かしらの理由でラインブロックという自体は当然可能性として残っていて。
だが自分たちの直感では、それは無さそうな気がしていて。
彼女たちは圧倒的に性格が良い子だった。
そしてもうひとつ。決定的とも言える要素。
夏を楽しみたがっていた。
彼女たちからの意思を感じていて。
それはLAN後のプレゼンの際だけでなく、ライングループでも。
ノリノリだったのだ。
何持っていくかとか、どこ行きたいとか。
晴れるといいなとか、台風来てほしくないねとか。
そういうやりとりが行われていた。
もちろんそれでも突然破綻することがあるこのアングラ世界ではあるが、
これは自分たちの経験則から見た直感。
多分大丈夫。
で、一応3回目も相棒が東京に来て出撃した。
彼女たちを超えるペアを探しに。
だが正直見つからなかったし、気合いも入らなくて。
理由は多分わかってた。
正直な気持ち。
自分たちも、彼女たちと行きたかったのだ。
******
そうして訪れた当日。
可愛いファッションに身を包んだ二人組。
ドライブ中も鬼の盛り上げ。
つまらないなんて絶対思わせない。
けどそんなことも杞憂になるくらい会話は盛り上がって。
ノリノリの音楽かけて運転して。
パーキングエリアでアイス食べて。
で、到着してプール。
真っ昼間。
プールサイドでモエ(ぬるくない)開けて。
からの。お待ちかね。
LAN打診。
ここで最大の注意。
前回の血の学び『分散』!!
ペアをできるだけ固定しないこと。
正直、前回同様また自然とペアになってしまっていた。
清楚子とチバ。ショート子と相棒。という形に。
ペアを頻繁に入れ替えなきゃいけない。
さりげなくショート子を呼んで、一緒に飲み物をチェックしに行こうと誘う。
冷蔵庫の前。ちょっといちゃつく。
キスしようとしたら案の定ショート子が言ってきた。
『だーめ!○○(チバ)さん、△△(清楚子)のことが好きでしょ?』
やばい!
ここにきてLAN破綻?
一瞬不安がよぎった。
だが同時に、悪くない空気感も感じ取った。
「へー、そういうふうに思う?」
切り返す。
秘技:曖昧切り返し。
えー、なにそれ、
なんて照れながら言葉につまる清楚子をグッと抱き寄せて。
キス。
大人のキス。
映画のワンシーンみたいに。
じっくり。
じっくり。
互いに背中をまさぐり合って。
案の定プールサイドから清楚子に現場を見られる。『あーーっ!!』
そこにすかさず相棒登場!
「うおおおお!!!」
でた!!
伝家の宝刀!!!!
照りつける太陽の下。
真夏のプールサイド。
フル○ッキボロンッ!!!!!!!
LAN。
以下略。
からの。
夕食タイム。
からの。
しっぽりトークタイム。
分かってきたことがあった。
彼女たちの年代は可愛そうだった。
なぜならコロナの影響をもろに受けているから。
遊びたい盛り、飲みたい盛り。
はしゃぎたい盛りなのに、それがコロナのせいで全然できなくて。
もちろん遊んでる若い子は沢山いる。ニュースにもなっているし、
公園飲みや路上飲み(特にk街)が問題にもなっていたりする。
だけど、それはほんの一部で。
ほんの一部の若い子で。
自粛している若い子は大勢いる。それは倫理的にそうしようと思っている子もいれば、
実家ぐらしでおじいちゃんおばあちゃんと同居していて、やはり家族に迷惑をかけられないという理由でそうしている子もいる。
少人数ならいいけど、おおっぴらに大人数で旅行するようなことはできない。
世間の目があるし、メンバーの誰かがインスタのストーリーにあげてしまって、それが広まって思わぬ方向から注意が入ったりすることもある。
全然楽しくないのである。正直、30代の1年間より若い子の1年間のほうが貴重だ。
貴重だし、1日1日が濃い。
それが一年半ごっそり奪われているのである。
特に清楚子のように遠方から東京に通う子。地元は田舎なので周囲にすぐ広まる。
田舎から全然動けない。
自分も繁華街近くに住んでいるので、派手な子ばかりが目につく。
だけど派手に遊んでる子はほんの一部なのである。
大多数の子はほんとうに我慢を強いられている。
だからショート子は都内に一人暮らしを始めた。
そして意思を持って。二度と無い貴重な2021年の夏を楽しもうとして。
自分たちの誘いに乗った。
ちなみにLANの成功理由。これも分かっていた。
多分効いたのは「大人トーク」。
誰にでも効くものではもちろんない。だが今回はワークした。
それは例えば女子○生が夏休みにひとつ大人になる理由。
大人を目指す理由。彼女たちはLANは初めてだと言っていた。
もちろん真実は分からない。だが直感では、おそらくそうだと感じた。
好奇心。そして夏を楽しみたいという状況。
これらが上手く混ざり合って重なり合った幸運だった。
*******
で、夕食後の極上のLANで果てた後のチルタイム。
結局ペアになる。
ショート子と相棒。
それは分かってた。
誰が見ても相棒はショート子とばかり話していたし、
最初から目がハートマークになっていた。
で、性格的にも、話し方的にもどちらかと言うと冷静よりな二人。
自分と清楚子。
ソファでゆっくりくっついてくつろぐ。
『□□さん(相棒)って、明日xx(地方)帰っちゃうの?』
「そうだよ」
『◇◇(ショート子)、寂しがりそう』
「うん」
『あのね、ショート子ね、実はね』
『相棒さんのこと結構好きっぽい』
「うん」
「分かるよ」
そう。実は気付いていた。
今回のLANの成功要因。合宿の真の成功理由。
無茶な初回LANの成功の裏の理由も。
それはまあまあ強めな好意。
好きという感情の発生。
正直、それがゼロなのにLANが発生して、再度次も繋がるのは、
女の子が相当なLAN好きの行為好きか、
あるいは結構流されやすい子、好奇心旺盛な子などである。
若干の色成分なのである。
これは正直賛否両論。だがどうしても、こちらが抑えていてもそれは発生しうる事。
若干気付いていた。
グループラインが活発なことも。
LAN自体がとてもしたい、という欲求から今回参加したわけではないことも。
ショート子が相棒を好きになっていた。
そして、おそらくは。
そのペアだけじゃなかった。
たぶんこちらも。
清楚子も。
なんとなくは気付いていた。
いや、なんとなくじゃなくて。
言い訳だ。はっきり気付いていた。
清楚子も自分のことが好きだ。
でも。言わない。
清楚子は言わない。
こうして、くっついて座って。
一緒に髪をなでながら、寄りかかりながら、
余韻にひたっている中でも。
清楚子は言わない。匂わそうともしてこない。
次の約束を取り付けようともしてこない。
清楚子はそういう子なのだ。
出さないようにしてて。
でも、多分色々考えている。
なんだろう。
急に抱きしめたくなった。
ぎゅっ と。
え、なに、と驚く清楚子。
強く抱きしめる。
なになに?!と驚いていた清楚子。
次第に清楚子の身体の緊張が抜けてくる。
長い抱擁。からの身体を離して。
目を見て。見つめて。
キス。
味わうように。会話をするように。
長い長い接吻。
外でとか、プールサイドでとか、部屋でとか。
どうでもよかった。
その場で。
もう何度目かも忘れたけど。
溶けるように重なり合った。
夏の夜風が、二人を撫でた。
(後日譚へ続く)
コメント
画像が創志学園ってのが、県民としては最高です
>ぺいさん
拾い画だったので知りませんでした。
お借りしました。
最高でした!